平成24年度老人保健健康増進等事業(老人保健事業推進費等補助金)の国庫補助に係る事業結果の概要の公表について(2013.4.9)
老人保健健康増進等事業実施要綱第6条第4項に基づき事業結果を公表いたします。
1 事業名
市区町村高齢者虐待防止ネットワークにおける関係専門機関介入支援ネットワークの推進と法律専門職との連携モデルの呈示及び方法論の研究開発
2 事業の目的
高齢者虐待防止や虐待対応など、市区町村や関係機関が実施する高齢者の権利擁護活動において法律専門職がどのように関与しているのか 活動実態の全体像を把握するとともに、高齢者虐待防止や各種権利擁護活動に関与している法律専門職が抱える課題を把握し、 行政及び関係機関及び法律専門職の両面から更に分析を進め、市区町村高齢者虐待防止ネットワークにおける関係専門機関介入支援ネットワーク の推進と法律専門職との連携モデルの呈示と標準的手法の研究開発を目指す。
3 事業結果 調査方法としては、①法律専門職を対象とした郵送等による質問紙調査、②先駆的実践をしている法律専門職へのヒアリング調査を実施した。
上記①のアンケート調査については、高齢者虐待や権利擁護活動に携わっている法律専門職はそれほど多くはなく、また対象者を特定する ことも容易ではない等のことから、この点につき委員会で協議を重ねた結果、各都道府県の弁護士会、司法書士会、リーガルサポート支部に 対して、所属会員数等を基に各会(支部)への調査票配布数を決定・配布し、各会(支部)より高齢者虐待防止や権利擁護活動に携わっている (と思われる)会員に配布してもらう方法で実施した。
上記②のヒアリング調査については、高齢者虐待対応の現場における実態・意見を反映させたより充実した内容の視覚教材を制作するために 先駆的実践地域の法律専門職にヒアリングすることを予定していたこともあり、その具体的な方法について委員会で様々な議論を重ねた結果、 視覚教材の視聴を実施することとし、その内容につき先駆的実践地域の法律専門職から意見を聴取する方法とした。
①の調査結果、今回調査対象とした活動状況すべての場面において一定の割合で法律専門職が関与しており、法律専門職が多様な場面で 高齢者虐待防止や権利擁護活動における役割を担っている実態が明らかとなった。
高齢者虐待が疑われる事案は日常的な様々な相談等の関わりの場面で遭遇しているものも少なくなく、それらの場面で法律専門職が適切な対応を 講じることにより、高齢者虐待の未然防止や早期発見・早期解決につながる可能性が高くなることが期待できる。また、高齢者虐待事案の対応方針等 への助言や個別対応から再発防止に関連する活動の場面においては、市区町村や関係機関の担当者、福祉専門職等との協力関係や連携体制の構築が不可欠である。
しかしながら、市区町村との連携についてその予算確保の困難さを指摘する回答や高齢者虐待に関する法律専門職の基本的な知識及び実践的な 場面における知識・技術の不足を指摘する回答が多くを占める結果であった。
このようなことから、行政側のバックアップだけではなく法律専門職団体としても地域で活動する法律専門職をバックアップするため、研修機会の 確保とともに、活動に関する様々な支援の充実が求められる。
なお、視覚教材については、②の調査で得られた意見も参考にして、法律専門職とって必要な専門的知識の平準化、標準化を図るとともに、 法律専門職及び市区町村行政をはじめとする関係機関の今後の具体的実践の参考や、市区町村高齢者虐待防止ネットワークにおける連携等の具体的方法 を示した内容としている。