月報司法書士 2001年10月号 [Legal Support News]より

出前講座に思う

             社団法人 成年後見センター・リーガルサポート

 最高裁事務総局家庭局が公表した資料によると、「成年後見申立てで市町村長
が申し立てたものは23件で全体の約0.5%にとどまっている」とのことである。
市町村長の申し立てが少ない理由としては、「市町村長の申し立ては補助的に行
うもの(市町村長の権利であって義務ではない)」という考え方や、「予算がな
い」「市長の押印について基準がない」等の理由が挙げられている。しかし、
「よくわからない」「他がまだやっていない。他に先んじてやる必要はないだろ
う」「親族等の関係者からクレームが来たらどうする」とした本人支援の外側の
問題が本音ではなかろうかと思われる。
 最近、市町村サイドでも「これではまずい」というように意識が変わりつつあ
り、リーガルサポートとしても、市町村に対する申し立て支援と意識改革に関す
る積極的働きかけが必要であると考えている。
 このような中、多くの支部で出前講座が企画されている。これは、市町村や社
会福祉協議会等へ積極的に働きかけ、講演活動を展開しようとするものである。
その対象は市民だけでなく、市町村長の申立担当者をも対象としているものが多
い。
 市町村長による成年後見申立の活性化は、市町村窓口や福祉団体への相談の活
性化に繋がる。もちろん、それらの相談の結果は、すべてが市町村長の申し立て
に繋がるのではなく、多くは実践団体を紹介することとなろう。
 それだけに、市町村長の申立権が市町村で現実問題として検討されつつある中
で、出前講座等の活動を通してリーガルサポート、従って、司法書士集団が成年
後見実践の中で、どのように位置づけられるかは重要である。ただ単に、講演会
を開催するだけでなく、その後のフォローが重要であるといえよう。
 また、市町村長への申し立て支援に関する活動は、「成年後見制度」という限
られた局面に絞りこむことは適切ではない。これまでの活動の結果を見ても、任
意後見契約締結の過程で相続登記が行われていないことが発見される場合が少な
くない。また、「個人破産の手続きはお願いできるか」といった問い合わせも受
ける。司法書士の執務が理解されていないのである。その結果として、司法書士
の執務でありながら、他の専門職が事実上行っている執務や、埋もれたままにな
っている執務が少なくない。
 従って、これらの活動の成果は、単に成年後見制度の普及だけでなく、司法書
士制度と司法書士の執務の普及促進を図るものであることを理解し、出前講座等
の活動がリーガルサポートと司法書士会の緊密な連携の下に展開されることが期
待される。(副理事長 岩澤 勇)