月報司法書士 2002年2月号 [Legal Support News]より

 成年後見とリーガルサポートを取り巻く状況について
 

  社団法人 成年後見センター・リーガルサポート 専務理事 前田 稔

○ 公益信託成年後見助成基金
 2年以上かけて準備してきた公益信託成年後見助成基金(注1)が、平成13年
12月18日法務省の設定許可を受け、いよいよスタートすることとなった。これま
でに日司連をはじめ各司法書士会・各支部、会員の皆様方の強力なご支援により、
当初目標額2000万円を大きく超える約2500万円のご寄付をいただくことができた。
この場を借りて心より感謝申し上げたい。
 この基金は、成年後見制度の利用にあたり問題とされることが多かった後見費
用等の問題について、民間組織が正面から取り組んだひとつの解決策として、各
界より大変な評価を受けている。これからは、基金の運営委員会が組織され、そ
の詳細を決定されていくことになるが、今後も引き続き同基金へのご支援をよろ
しくお願いしたい。(注1)基金の概要等は、本誌平成13年4月号・7月号参照
○ 成年後見制度の利用状況
 最高裁判所の最近の統計によれば、平成13年4月から平成13年9月までの新受
件数は、後見開始の審判が4401件、保佐開始の審判が514件、補助開始の審判が
305件、任意後見監督人選任の審判が51件とのことである(注2)。昨年公表さ
れた平成13年3月までの1年間の成年後見関係事件の概況の数字と比べてみても、
全般的に若干の増加傾向にあるといえる。まだまだ充分に利用されているとはい
えないものの、着実に成年後見制度が社会に定着し始めているといえよう。
(注2)岡田伸太「新成年後見制度の運用の実情」実践成年後見NO.2.31頁
○ 知的障害児・者の「措置から契約」
 平成12年に介護保険制度と同時に開始した成年後見制度であるが、実は平成15
年4月にまた新たな局面を迎えることとなる。
 「障害者プラン」が終了する平成15年4月から、介護保険制度に続いて障害者
福祉の分野においても、平成12年6月の社会福祉事業法改正をうけ、知的障害児・
者や身体障害者を対象とする障害者福祉サービスの利用方法が、大きく変わるこ
ととなっているからである。つまり、従来の「措置」から「契約」による利用制
度への変更である。
 この利用方法は「支援費支給方式」といわれ、利用者(障害者)がサービス提
供者との直接契約をすることを基本としている。そして、障害者からの申請によ
りサービス費用から利用者負担額を控除した額を市町村が支援費として決定支給
する形をとることになる。
 知的障害の分野では近年「地域生活支援」が大きなテーマとなっており、厚生
労働省では、平成13年度からは新たな入所更生施設の新設は認めず、全国に41万
人いるといわれる知的障害児・者のうち施設入所している11万人を、毎年その10
%について家庭・地域での自立した生活支援の方向で考えているということであ
る。
 こうした知的障害の地域生活支援への流れや支援費支給方式への移行という状
況の中で、利用者主体の支援や利用者保護の観点からも成年後見制度利用の必要
性がますます認識されてくるのではないかと思われる。新しい支援費支給方式に
ついては、まだその支給方法・支援額等の吟味すべき点がいくつか残されてはい
るようであるが、契約によるサービス利用が、本人の自己決定の実現という観点
からも、利用者とサービス提供者との間で定着していくことが望まれる。ぜひ、
来春の施行に向け、私たちとしても市町村その他関係機関との連携協力体制のさ
らなる充実につとめる必要性を感じているところである。
○ 成年後見制度利用支援事業について
 平成13年4月より始まった厚生労働省の成年後見制度利用支援事業のうち助成
事業においては、老人福祉法32条に基づく市町村長による成年後見申立事件につ
いて、その申立費用、後見人報酬などを助成することとなっている。現在、助成
制度そのものは、前提として市町村の予算措置等が必要なため等の理由で利用事
案がまだないようであるが、平成14年4月からは知的障害者福祉法27条の3に基
づく申立てについても予算措置が図られる方向で検討されているようである。
 最高裁の成年後見関係事件概況報告では、昨年3月までの1年間に市町村長の
審判申立がなされた新受件数は23件と、まだまだ市町村長による申立件数は少な
いのが現状ではあるが、平成14年度に向け、新たに市町村の審判請求手続要項や
市長規則等を整備し、あわせて予算措置をとることにしている市町村が増えてき
ている。平成15年4月からの支援費支給方式への移行に向けて、各市町村におい
ての成年後見制度利用に向けた取り組みが活発になることを願っている。
○ 課題への取り組み
 リーガルサポートも設立3年目を迎え、そろそろその真価を問われる年に入っ
てきた。しかし、まだまだ未解決の課題がいくつも山積している。執務管理の充
実、法人後見への要請への対応とその管理といったリーガルサポートの組織体制
にかかわる問題のほか、医療行為の同意や身元保証、能力判定など、他の職能・
機関との調整さらには立法的解決が求められるものもある。今後も避けることの
できない問題についても、研究・提言をしていきたいと考えている。
 今後も大きなご支援をお願いしたい。