月報司法書士 2003年03月号 [Legal Support News]より

ユニセフ、シンポジウム、そして離島へ

社団法人 成年後見センター・リーガルサポート
常任理事 松井 秀樹

 今回は、最近の成年後見に関連した新しい動きについてお知らせします。

■ユニセフ
 まず、「ユニセフ」からの申し出についてご報告します。
 国際連合児童基金である「ユニセフ」は、子どもたちの生命と権利を守るために創設された国連機関であり、現在、161の国と地域で保健、栄養、水と衛生、教育、緊急活動などの分野で支援活動を行っています。この活動の資金は、各国政府からの任意拠出金と民間募金によるものです。そこで、昨年の暮れに日本ユニセフ協会からリーガルサポートに対して、遺産の寄付を考えている高齢者の方がいらっしゃったら、その寄付先の一つとしてユニセフを司法書士の皆さんから紹介して欲しいと申し出がありました。
 ユニセフとしては、これまで司法書士が遺言執行事務に関わっているとは認識していなかったようですが、リーガルサポートの活動を通じて、司法書士が遺言制度についても熟知しており、遺言執行事務にも通常業務として係わっていることを知ったようです。このユニセフとの話し合いの中で、「司法書士とリーガルサポート」という記事がユニセフの発行する小冊子に掲載されることになりました。


■シンポジウム
 次に、1月18日(土)日司連ホールにて「成年後見制度シンポジウム〜もっと身近な成年後見制度を目指して〜」が開催されました。これは、リーガルサポートが主催したものではなく、司法書士・学者・弁護士・社会福祉士の個人13人が呼びかけ人となって企画・開催されたものです。しかし、成年後見制度の将来にとって極めて重要なシンポジウムであったため、この誌面を借りてご報告します。
 このシンポジウムは、成年後見を実践する者が一堂に会し、新しい成年後見制度の制度上、運用上の問題点を抽出し、その改善の方向性を探り、改善を求めていくことを目的に企画されました。当日は大変な盛況であり、220名ほどの参加がありました。参加者は、大学教授・弁護士・公証人・社会福祉士・裁判所職員・自治体職員・ソーシャルワーカー・税理士・利用者団体・マスコミ、そして司法書士等の様々な職種の方々でした。
 シンポジウムは、第一部が成年後見制度の実情と問題点の報告、第二部が問題点の検討です。コーディネーターは筑波大学大学院新井誠教授、パネリストは東京弁護士会「オアシス」赤沼康弘弁護士、「横浜あんしんセンター」延命政之弁護士、「ぱあとなあ」金井守社会福祉士、そしてリーガルサポートからは東京支部矢頭範之副支部長と私でした。
 当日は、各団体が抱える問題点もある程度紹介されました。この内容の紹介については、誌面の都合上、別の機会にゆずりますが、司法書士側が提示した問題点のみ概略をご紹介します。
 法人後見からみた成年後見制度の問題点として、次の5点が提示されました。(1)家裁の要請により、後見費用の払えない方の後見を法人後見として受任しているが、今後、リーガルサポートの財政面・人材面から考えると、自ずから限界がある。国が後見人の報酬を支出する公的後見人制度の創設を望む。(2)後見人・保佐人は精神保健福祉法における保護者になるが、これは過重な負担となる。(3)被後見人が第三者に対して損害を与えた場合、民法第714条の責任無能力者の監督者の責任を追及される可能性がある。(4)後見人として暴力にどう対処するかが問題となる。(5)後見監督については、激増する件数に家庭裁判所の監督体制が厳しい状況である。
 パネルディスカッションにおいては、かなり本音の議論が展開され、会場からも様々な意見が寄せられました。とても熱気のあるシンポジウムとなりました。また赤沼弁護士からの「任意後見契約が日本人の『契約』という意識を引っ張ることになる」という発言は新鮮であり、印象に残った言葉でした。
 そして、シンポジウムの最後に新井教授から、今年の秋には「成年後見法学会(仮称)」を設立したいとの発言がありました。これは学者・弁護士・社会福祉士・司法書士等の枠を超え、成年後見に関心のある人々が集まり、成年後見制度を論じる場を創るという趣旨です。この提案は満場の賛成をもって迎えられました。

■離島へ
 最後に、離島における成年後見をどのように行うかについて、この問題を現地で考え、解決方法を見出すため、東京から船で25時間かかる小笠原に行くことになりました。
これは、全国青年司法書士協議会の誘いによるものですが、現地では親亡き後問題等の成年後見にかかわる様々な問題があると聞いています。これがきっかけとなり、離島における成年後見の問題解決の端緒になれば幸いです。
 平成15年度は、新しい成年後見制度が施行され4年目に入ります。この制度の社会からの認知も、法施行時と比較すると格段に進んでいます。そして、平成15年度は、司法書士の大きな飛躍の年になります。時代は大きく動き始めているようです。