月報司法書士 2003年05月号 [Legal Support News]より

成年後見制度をめぐる各界の取り組み

社団法人 成年後見センター・リーガルサポート
専務理事 前田 稔

 成年後見制度は施行以来早くも3年を数え、リーガルサポートも設立4年目の活動に入った。この間、関係者の努力により制度は徐々に知られるようになり、最近ではその実践的な取り組みが一段と活発になってきた。リーガルサポートとしても、関係機関との連携を深め、社会的インフラ整備の充実に力を注ぎたい。そこで、今回は成年後見制度をめぐる各界の取り組みについて、メディア等で取り上げられた情報を参考にして、そのいくつかを紹介する。


■東京家庭裁判所「後見センター」新設
 東京家裁は専門的に4月から、痴呆症や知的障害等で判断能力が不十分な人を保護する成年後見関係事件を取り扱う「後見センター」を設置する。2000年4月に成年後見制度が施行されてから、事件数が増加しており、同センターに事務を集中させて、迅速な処理を目指すという。センターは東京家裁(千代田区霞ヶ関1の1の2)の13階に新設され、未成年の後見事件も取り扱う。
 後見関係事件を特定の部署に集中させる試みは、大阪家裁や札幌家裁で既に始まっているという。


■成年後見センター設立へ
 東京都の多摩、調布、日野、狛江、稲城の5市が共同で、判断力が衰えた高齢者の方や知的障害者の方等を支援する非営利法人「(仮称)多摩南部成年後見センター」を2003年7月にも設立する。
多摩市在宅福祉課によると、介護保険制度の導入等で、福祉は「措置」から、当事者がサービスを選ぶ「契約」へと転換し、痴ほう症状のある高齢者の方の権利を保護する必要性が高まっている。しかし、身寄りがなかったり、金銭的な余裕がなかったりする方々は、新制度の下でも、宙に浮く形になっているという。
 成年後見センターは、そうした人々に5市が連携して対応するものだ。
 事務所は調布市内に置き、今年7月の設立、同10月の事業開始を予定している。後見人の必要な人や親族の相談業務、見守りなどの生活支援のほか、同センターが直接、後見人を務めたりもする。新年度は、各市10人までの利用を想定。設立出資金などの事業費約7千万円を各市が均等に負担する。

■横浜市「後見的支援を要する障害者支援条例」を制定(横浜市の広報パンフレットより転載)
 「もしも私に何かあったらこの子は…」そんな障害者を養護されている方や本人の将来の不安を解消するために横浜市は条例を制定しました。この条例は平成14年7月1日から施行となります。
(市の支援施策)
第6条 市が実施する後見的支援を要する障害者に対する支援施策は、次のとおりとする。
(1) 後見的支援を要する障害者の生活に関する相談を受け、及び助言、指導等を行うこと。
(2) 民法(明治29年法律第89号)の規定による後見開始、保佐開始又は補助開始の審判の請求を行う為に必要な支援を行うこと。
 〜以下省略〜

■『成年後見制度』解説書・ビデオが出来上がりました
(「高齢社会NGO連携協議会事務局ニュース」2003年3月号より転載)
 「成年後見制度」普及促進に関するビデオおよび解説書「不安のないシニアライフを過ごすために」が完成しましたので、3月26日の全体会で各団体にビデオ1本、解説書1冊を配布いたします。なお、地方自治体、社会福祉協議会、各地の団体等からの頒布希望に応えるため、一般頒布用として解説書「豊かで安心したシニアライフを過ごすために」を作成し、ビデオを増刷しました。これら一般向け頒布セットは解説書20冊+ビデオ1本で価格は10,000円(消費税500円別、送料着払い)です。
【問い合わせ】(社)長寿社会文化協会内 高齢社会NGO連携協議会 TEL03‐5460‐0521
■三菱信託銀行が成年後見制度利用を斡旋
(月刊「KINZAI FINANCIAL PLAN」2003年3月号より転載)
 2002年12月、三菱信託銀行が成年後見センター・リーガルサポートと成年後見制度相談または利用に関する協定を提携した。同行では、富裕層を対象にした会員制度「エクセレント倶楽部」(1999年に開始、現在25万世帯が加入)の会員および遺言信託を使用している顧客等に対するサービスの一環として位置づけている。
 同行は、老後の財産運用で、また、遺言信託により遺言者の相続開始後における資産配分等の具体化を積極的にサポートしてきたが、痴呆等により顧客の判断能力が低下した場合の対応を課題としていた。高齢化社会の到来に伴い、成年後見制度への関心が高まりつつあり、顧客からの相談がふえてきていることが、今回の協定締結に至った要因という。
 これにより同行は、成年後見制度の利用を希望する顧客、または信託業務とともに円滑な財産継承を図るために必要と判断される顧客に対し、成年後見センター・リーガルサポートを紹介する。いわば両者の橋渡し的な存在になっている。


■成年後見法学会(仮称)の設立
 成年後見法学会(仮称)の設立のため、平成15年11月1日(土)〜2日(日)東京商工会議所ビルにおいて設立総会開催に向けて準備を進めている。
 1日目はドイツの学者等を招いて日本とドイツの成年後見制度についての国際シンポジウムを行い、2日目は記念講演と設立総会を予定している。今後、学者だけでなく、実務家、福祉関係者、家族、学生等、制度に関心のある多くの方々に入会を呼びかける予定。