月報司法書士 2003年07月号 [Legal Support News]より

リーガルサポートによる法人後見=信頼

社団法人 成年後見センター・リーガルサポート
法人後見委員会委員長 川口 純一

 成年後見制度が施行されてから3年が経過した。その中で注目された制度の一つが法人による後見である。社会の急速な高齢化に対応するために法人が成年後見人等に就任できると明文化され、その新たな担い手として期待されたのだと思う。果たして、法人後見は毎年その数を増やし、年を経るとともにますます期待されている。

1.法人後見に対する高まる期待

(1) 有料老人ホーム 施設入居者にとっては、法人との任意後見契約等により将来の不安を解消するとともに、身元引受人がいなくても施設入所契約ができ、入所が可能になる。施設側としても、信頼できる法人との提携で入居者への様々なサービスの行い易さにつながると同時に、施設の透明性・公正性を高めることができる等々の点により多くの契約がなされ、また(社)成年後見センター・リーガルサポート(以下、「リーガルサポート」という)に問い合わせも数多く来ている。
(2) 家庭裁判所からの後見監督業務の依頼 成年後見制度の利用増等で事件数が増加している家裁からは、親族後見人等に対する成年後見監督人・任意後見監督人への就任要請、打診等が多数なされている。
(3) 知的障害者施設からの依頼 支援費制度の施行に伴い契約に対する意識が高まり、各地の施設から法人後見の問い合わせがリーガルサポート本部及び支部に相次いでいる。
(4) 困難な事案の受任依頼
被後見人及び利害関係人に暴力等の問題行動を起こす人がいる(端的に言うと暴力団関係者が利害関係人にいる等)場合は、法人でなければ対処が困難である。これらの事案を受任した場合は、本部及び支部でそれぞれ複数の担当者で合議し、最善の策を講じるとともに、他の専門職能の助言、支援を受けながら、一致協力してあたっている。法人による幅広い活動によって可能になる後見と考えているからである。
 (2)被後見人に資産がない等、個人後見で長期間後見することが難しい事案は、担当者の過度な負担にならないように担当を代えながら行っている。


2.なぜ法人後見なのか(ニーズ)―信頼―

(1) 有料老人ホーム、家裁、信託銀行等からみると
  リーガルサポートに対する家裁からの親族後見等に関する成年後見監督人・任意後見監督人への就任要請、打診等は、これまでのリーガルサポートの活動を高く評価していただいたこと、そして多くの事案を依頼するには、法人ということで、後見人等としてのレベルが一定水準を超え均一であることによる信頼が大きいと思われる。また、有料老人ホーム、信託銀行(法人としての受託ではないが)からの提携の話があるのも、同じ理由によるものである。
(2) 利用者が法人後見を希望する場合
長期にわたる後見事務が予想される場合(障害者等の親亡き後の問題) 
後見事務の対象地が広範囲にわたる場合
信頼度が高い
資力が無く後見費用が払えない場合

(3) 後見人にとっての有用性
リーガルサポートでは法律、介護、医療等の個人では判断が困難な問題について、支部、本部、理事会、業務審査委員会で検討し、担当者個人が孤立しないよう組織的なバックアップを受けられるようにしている。
後見人自身の病気、事故、長期出張等に対する不安の解消。
自己の人生選択の幅が狭められてしまうという不安の解消。


3.問題点

判断が何重にもなるため時間がかかり、迅速性に欠ける。
不正・事故が発生したら即座に法人全体に波及する。
後見事務担当者の意識が低下し、無責任になるおそれがある。
受任件数が増加した場合、本部・支部において管理が困難になる。
画一的に処理されやすい。
資産のない方の法定後見を受任しているが、財政、人材に限界がある。本来は、公的後見人制度が必要な分野である。
成年被後見人が第三者に対して損害を与えた場合の監督責任の問題。
4.現在そしてこれから
 これらの問題点を克服するため、昨年6月よりリーガルサポート本部に法人後見委員会を設置し、各支部から上がってくる事案の承認業務や監督業務等を組織的に行える体制を整えた。今後さらに、支部と本部との意思疎通を強化するため、地域別担当制の導入、法人後見マニュアルの作成等を行い、体制の充実を図っていきたい。また、支部組織が整えば、様々な判断を支部に任せることにより、よりスピーディに対応できるようになると考えている。
 本来これだけ多くのニーズがあれば、そのすべてに積極的に対応すべきであるが、しかし支部による履行体制の確保や本部における承認・監督体制が充実するまでは、厳しい対応、承認基準とならざるを得ない。リーガルサポートの今までの高い評価、信頼をより確固たるものとするために、原則「個人後見」、例外「法人後見」と考えて承認業務を行っている。
 地方自治体、社会福祉協議会等でも法人後見を考えていると聞いており、大変歓迎すべきである。今後互いに得意分野を活かし協力し合い、法人後見の可能性を発展させていきたい。
 現在の信頼は、各司法書士の努力の賜物であり、今後の信頼も各司法書士の努力次第である。法人に信頼を寄せる日本の状況と信頼を得てきた実績から、今後、様々な施設、団体から対組織としての依頼(法人後見)が来ると思われる。リーガルサポートという法人が信頼に応えられるには、個々の司法書士の努力をいかに組織としてまとめサポートできるかである。これからが本番である。