月報司法書士 2003年12月号 [Legal Support News]より

知的障害者施設での相談会を終えて

社団法人 成年後見センター・リーガルサポート
群馬支部長 松本 紀佳

 リーガルサポート群馬支部が主に事業活動している群馬県は、北西部を上毛三山(赤城山、榛名山、妙義山)に囲まれ、北部から中央部を経て東部に利根川(別名:坂東太郎)が流れる関東平野の北部に位置しています。群馬支部は発足当初から40名程度の会員で、いまでもこぢんまりとした運営をしています。
 毎年おこなっている「全国一斉無料成年後見相談」も今年で4回目、今では定例事業となった感がありますが、最初に「相談会を実施してください」と突然本部から依頼があったときは、支部としては慌てふためき、本部に対する恨み辛み、不満を持ちながらも何とかこなしたものでした。群馬支部での相談は数件しかありませんでしたが、相談員は20名以上もいました。それでも終わってみると、これから成年後見に取り組んでいくための姿勢を実感することができました。

 この相談会を契機に、「相談窓口を設けよう」という話になり、専用の携帯電話を会員が持ち回りで相談に対応したのが常設相談の最初でした。定例の面談相談までは、いまだに取り組めていませんが、今では事務局経由で担当者が電話で相談を受けています。週1件程度で相談があり、もうすぐ100件になります。成年後見の相談は、破産事件のように差し迫ったものはそれ程多くなく、ある意味で地味な相談ですが、年月を経るごとに、徐々にではありますが、これらの電話相談から実際の受託につながることも増えてきました。

 2回目、3回目の一斉相談会は助成金を受けての事業とあってか、本部も気合いが入っていたようで、小冊子『いつもあなたのそばに』を作成し支部に配布されました。そうなると、こちらも気合いが入り、この相談会を契機に広報(チラシ)に少し工夫をすることにしました。「状況に応じた広報を」ということで、レーザーカラープリンターを購入し、会員が一般向け、施設向け、専門家団体向け、報道機関向けのチラシと状況に応じたイラスト入りのものを作り分け、足を棒にして配り回りました。群馬支部が独自のホームページ(http://www9.wind.ne.jp/legal−support/)を開設したのはこの頃でしたが、ホームページを見て相談会に来たという方もいて驚いたことがあります。この2回の相談会とも、電話による相談を入れると相談件数は20件を超え、相談内容も具体的なものが多くなり充実した相談会となりました。

 さて、本年の相談会ですが、そろそろマンネリ化してきたところに司法書士特別研修も手伝ってか、「例年どおりすれば」という甘い考えが会員の頭の片隅に出はじめ、時だけがいたずらに過ぎていきました。そんな折り本部から「本年は支援費制度導入の年なので、知的障害者施設での実施を考慮に入れたらどうか」と業務文書が届きました。「地獄に仏」とまでは言いませんが、ほとんど準備ができていなかった事が幸いし、すぐに本部の指示を受け、その方向で検討し、心当たりの施設に連絡すると2ヵ所の候補地を紹介していただきました。その結果、群馬県中央に位置する前橋市(群馬司法書士会館)と東部に位置する太田市(とうもうさわの寮)、北部に位置する渋川市(三愛荘)の3会場、地理的にも利用者の便も考慮した会場設営で相談会を行うことになりました。会場やテーマが決まると動き出せるもので、それからは、広報やらなんやらで、忙しくも楽しい成年後見運動の毎日でした。

 相談会の当日、知的障害者施設の会場では、2会場とも十数件の相談を受けることができました。相談者の多くは、その施設の利用者の関係者の方々で、具体的な利用手順はさることながら、「親無き後問題」にどのように成年後見制度を活用していったらいいかが中心的な相談となりした。「もしもあの子が病気になったら今の蓄えではとても。職業後見人がついていたのではなおさら……」「その時、後見人は何とか考えますよ」では通用しない子を思う親の気持ち。一緒に悩み、一緒に考えた一日となりました。

 一方、同時に開催した前橋会場(群馬司法書士会館)では面談相談2件、電話相談2件という結果に終わりました。広報面では例年と遜色はなかったと思っています。群馬県内では成年後見に関する相談会が各地で行われ、そこに群馬支部の会員も相談員として出張し、相談活動をしています。かつて「全国一斉」を契機に群馬支部の第一歩が始まったと言っても過言ではなく、また制度広報的にもその価値は大きかったと考えています。しかし、このような環境が整ってきているなかで、「全国一斉」という形で行う相談に加え、草の根運動的な相談や支部が独自に行う相談会も必要なのではないかと思いました。各支部の皆さんは何を今さらと思われるでしょうが、これまで年1回の「全国一斉さえすれば」と甘えていたことに、今年の出張相談会をしたことでやっと気づいた次第です。

 これから群馬支部は、例えば知的障害者施設であれば保護者会総会等の機会を捉えながら施設の要望に応じた、「待っている相談」から「一歩近づく相談」へとする『出前相談会』を実施したいと考えています。