月報司法書士 2004年01月号 [Legal Support News]より

全青司と協力し福祉施設へ

社団法人 成年後見センター・リーガルサポート
法人後見委員会 加藤 正泰

 現在、各地の「知的障害者施設」に対して、リーガルサポートと全国青年司法書士協議会(以下、「全青司」という)が協力をしながら、成年後見制度のさらなる理解と普及を図るための活動が始まっています。
 このような、共同での活動が始まったきっかけは、全青司が平成15年2月に、全国の「知的障害者施設」に対して行ったアンケートでした。
 社会福祉基礎構造改革が進み、「措置」から「契約」へと移行する流れの中で、平成15年4月より、知的障害福祉の分野でも「支援費制度」がスタートしました。この新たな制度は、「契約」が重要な要素となる制度ですから、意思能力に問題がある場合、「成年後見制度」の利用は欠かせないものとなるはずで、特に重度の知的障害をもつ方々の場合、「契約」と「成年後見制度」は、それこそ「車の両輪」の関係でなくてはなりません。このため、支援費制度が実施されるにあたり、障害者福祉の現場において、どの程度、成年後見制度に対する知識や理解があるのかを調査するために行われたのが、先のアンケートです。
 このアンケートにより、現場では正確には「成年後見制度」のことが理解されていない実態と、また、「成年後見制度」の講習会を希望する多数の声があることがわかりました。そして、全青司よりリーガルサポートに対して、この調査結果の情報が寄せられ、これを受けたリーガルサポートは、全青司と協力し、「知的障害者施設」に対して、成年後見制度の普及を図る活動に取り組むこととなった次第です。
 具体的な取り組みについて幾つかご報告いたしますと、東京では、単位青年会が、全青司のアンケートに回答のあった21施設に対して、再びアンケート形式での確認を行い、希望のある施設に対し、リーガルサポート東京支部と共同で、順次説明会を実施していく方針であるとのことでした。大阪では、本年度は単位青年会と共催で、アンケート希望施設の一部に対し、訪問調査を行い、来年度、知的障害者施設への訪問講習会を、リーガルサポートの支部事業として行う方針だということです。また、神奈川でも、既に複数の施設への訪問講習を実しており、特に早い時期から行っていた横浜市では、一部の施設で理解が進み、施設として成年後見の申立てを行うために、家庭裁判所と、集団申立の打ち合わせを開催する施設も現れてきました。
 このような希望施設への訪問講習という取り組みは、まだ一部の地域で始まった程度ですが、その需要は今後さらに増していくことが予想されます。
 その根拠の一つに、「第三者評価事業」が挙げられます。これは、福祉サービスの質の向上と利用者の選択に資するため、厚生労働省で「福祉サービスの質に関する検討会」が平成10年11月に設置されて以降、識者による検討が進められ、平成14年3月に取りまとめられた報告書において、「事業者の提供するサービスの質を当事者(事業者及び利用者)以外の公正・中立な第三者機関が、専門的かつ客観的な立場から評価する事業」として実施が求められたものです。
 簡単に言えば、施設におけるサービスを第三者がチェックし、その結果を世間に公表するというものですが、例えば横浜市では、この評価基準の中に、「入所時の対応」として「本人の意思確認が困難な場合に第三者が立ち会うなどの利用契約時の権利擁護に配慮しているか」という評価項目があったり、「金銭管理」について「後見人」が基準に組み入れられるなど、「成年後見制度」への取り組みが、その施設の判断基準を図る一つの指標となっています。
 この「第三者評価事業」は、多くの市町村で導入が始まっており、既に、東京都、北九州市、福岡市、姫路市などではホームページで結果が公表されています。ただ、支援費制度が実施されたばかりの知的障害福祉での公表は、現段階ではありませんが、老人福祉分野で、実際に公表されている施設の評価のマイナスポイントとして、「契約を締結することが困難な利用者に対する、後見人制度・権利擁護を含めた配慮についても検討をすすめてください」という指摘も現になされています。
 このように、利用者が、サービスを提供する事業者を選択する仕組みの中では、マイナス評価は望ましいものではない以上、サービス提供者たる施設においても、「成年後見制度」に対する取り組みは、欠かせないものとなってきている、と言えるでしょう。
 以上のように、成年後見制度は、知的障害者施設においても、その重要性が増すことが予想される中、リーガルサポートも、今後、全青司ともさらなる連携を深め、成年後見制度に対する一層の理解と普及を図っていきたいと考えています。