月報司法書士 2004年05月号 [Legal Support News]より

成年後見制度をめぐる国会の動き
   ―「法務委員会」「厚生労働委員会」において―

社団法人 成年後見センター・リーガルサポート
広報委員会委員 木暮 高久

 去る2月25日、衆議院法務委員会及び厚生労働委員会において「成年後見制度」に関する質疑があった。
 主な質疑の内容は、成年後見制度が始まってから利用が思うように進んでいないことや、利用についての「質」についてのこと、費用負担の問題、さらには監督の問題等多岐にわたり、政府も真摯に取り組む姿勢を示した。特に注目する政府の答弁等は次のとおりである。

登記を扱う法務局が全国50ヵ所に
 成年後見制度の導入にあたっては、附帯決議にこの新しい制度が国民に周知徹底されるよう努めること、利用者にとって利用しやすい登記所の体制の整備に努めることが求められていた。しかし、今もって取り扱う登記所が東京法務局1ヵ所という現状である。
 この登記所の整備について政府は、登記事項証明の取り扱い法務局を50ヵ所に増やす予定であり、平成17年度1月中に運用を開始したいとの答弁がされた。運用される50ヵ所の登記所がどこであるかについては、具体的な説明はされなかった。

「司法ネット」構想と成年後見制度
 司法ネット構想とは、国民に「法律サービスの提供や紛争解決のための情報が得られない」「誰に相談をして良いのか分からない」との声が多く、それにより「泣き寝入り」をしてしまうという現状がある。そこで、国民が全国どの地域にあっても法的紛争解決のための情報を得られるような司法アクセスポイントの設置、国民誰もが法律サービスを受けられるような仕組み等、国民生活に不可欠なインフラを官民協働で整備するものでとして考えられたものである。
 この「司法ネット」構想の中において「成年後見制度」を明確に位置付けるとの答弁がされた。そして、弁護士会や司法書士会などとの連携はもとより、司法と福祉の連携も必要であるとの主張がされ、今後一層の検討をお願いしたいところである。
 なお、「司法ネット」構想は、一般の人にわかりにくいとの小泉首相の発言から「総合法律支援法案」として第159回通常国会に提案され、中核となる機関については「リーガルサービスセンター」から「日本司法支援センター」とした。

成年後見制度のさらなる普及
 成年後見センター・リーガルサポートの大きな目標の一つは、「成年後見制度」を国民全体に普及させることである。
 平成12年4月から15年12月までの後見等開始事件の合計が48,052件だったとのことである。この数字は、制度開始前と比べれば相当増えているが、それでも利用は少ない。ドイツでの利用は、8,100万人の人口に対して100万人を超えており、他の国でも人口の約1%が利用していることから、わが国でも100万件以上の利用があってもおかしくない状況にあると言える。
 しかし、国会の各委員会の審議を通じて「成年後見制度」は、登記取り扱い法務局が50ヵ所に増えることや、「成年後見制度」がいわゆる「司法ネット」構想にきちんと位置付けられることなどを含めて、確実に利用が進んでいることが実感できたことが大きな収穫であった。

職業後見人の確保
 今後は、有能な職業後見人をどのように確保するかが、大きな課題となるに違いないことから、職業後見人が不足となって利用者が右往左往することのないように今から対策を講ずる必要がある。成年後見センター・リーガルサポートもさらにこれらの課題に取り組むべく気持ちをあらたにしたところである。