「後見制度支援信託」の運用にあたっての理事長声明


2011年10月19日

「後見制度支援信託」の運用にあたっての理事長声明


 当法人は、後見制度支援信託の運用の問題点等について、関係諸団体とともに最高裁判所との協議を重ねてきましたが、当法人が提起した運用面の疑問・要望等につき最高裁判所の説明によって概ね一定の合意が形成されたことから、今後、後見制度支援信託を親族後見人の不正防止のための選択肢として利用する場合、後見制度支援信託の円滑な実施及び運用のためには専門職が適切な信託条件の設定等に関与することが望ましいものと判断し、専門職後見人推薦団体としてこれに協力することを決定しました。

 当法人は、去る3月10日、後見制度支援信託の運用の問題点等についての意見・要望を表明しました。後見人の不正行為の防止策としては、家庭裁判所の物的・人的整備の拡充により監督機能の強化を図ることが本来の姿であり、その意味において、後見制度支援信託が抜本的な解決策とは考えにくく、運用次第では成年後見制度の理念に反するおそれがないとはいえないことから、いわば一時的・代替的な対応策というのが当法人の基本的な認識です。

 したがって、当法人としては、後見制度支援信託の運用にあたって、引き続き、成年後見制度の改善に向けて最高裁判所を含む関係諸機関との意見交換等を継続して行う機会の確保、成年後見制度の理念(本人意思の尊重、身上監護の充実等)に基づいた後見制度支援信託の運用を求めるとともに、その円滑な運用のため、関係諸機関に対し、以下の点を要望します。

① 後見制度支援信託の利用事案においても、身上監護を含む適切な後見事務が遂行されていることを担保するため、家庭裁判所は、必要に応じて監督立件を行うこと
② 後見制度支援信託に関する契約締結後においても、親族後見人の事務が円滑に遂行できるよう、家庭裁判所は、必要に応じて一定期間、親族後見人と専門職後見人の並立する期間を設けること
③ 家庭裁判所は、対象事件を新規事件に限定せず、必要に応じて対象事件を柔軟に選定すること
④ 信託受託者は、本信託の公益性に鑑み、「指定金銭信託約款」に定める信託報酬とは別に受領する信託契約締結時報酬、信託期間中報酬及び信託契約変更時報酬を無償又は極めて低廉な額とすること
⑤ 信託委託者となる成年被後見人の利便性を考慮し、全国各地にある信託兼営銀行も受託者として選択できるよう環境整備を行うとともに、普通銀行においても代替的預金商品を用意すること 
       平成23年10月19日 
                           公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート
                                        理事長  松井 秀樹